ちょっと生徒さんのテキストの曲に簡単な伴奏を付けるとか、リトミックの即興伴奏とか、ストリートピアノに出くわして『何か弾いてよ♪』とお友達に頼まれるとか。
いちいち楽譜引っ張り出すほどでもない、というかそもそも楽譜を見て弾くようなシチュエーションでもない場合などですね。
別にコード奏でなくても、なんでもスイスイ自由に弾ける人はそれでもいいのですが、特に楽譜通りの演奏、ということを常に追求しているクラシック畑の大多数の方はそうではないですよね。
なんてことなく、サラッと弾ける!というのに、みなさんあこがれていらっしゃるのかな?と思います。
でも、コードネームを利用した即興演奏は、適当に弾いているように見えても、実は細分化したセオリーがあったりします。
ただ単にフィーリングでなんとなく、という場合もあるでしょうが、そうではない即興弾きもあるということです。
適当に弾いてるんですが、その適当にはルールがある、という感じでしょうか。
何が言いたいかというと、ルールを覚えたらできる。マニュアル化できる。ということです。
うーん説明が難しい(笑)
とにかく、コードネームを利用して伴奏を付けるときに使えるパターンを色々と考えていこうかなと思います!
『コード』ってよく聞くけど、そもそも何のことなんでしょうね?
和音の構成をアルファベットと数字で簡潔に文字化するしくみのこと
と言えるでしょうか。
コードの基本は、ごく大雑把に言うと
ある基本となる音の上に、ひとつとばし(3度ずつ)で音を重ねていく
ということです。
ピアノの先生など、このへんは知ってるー、と思う方は次の項目に飛んでくださいね^^
基本となる音のことを『ルート』とか『ベース』とか呼びます。(和声学でいうところの『根音』)
私は『ルート』と呼ぶのに慣れているので、以下『ルート』と書きますね。
ルートの音から始まる長調の音階の、1・3・5番目の音を重ねたものがメジャーコードです。
Cは『ド』なので、『ド』から始まるハ長調の音階『ドレミファソラシド』の1・3・5番目を順に重ねると、【ドミソ】という和音ができます。これがCメジャーコード。
メジャーコードはコードの基本なので、ほとんどの場合、「メジャーコード」という部分は省いて、ただ単に『C』と呼ばれます。
『F』はヘ長調の音階『ファソラシ♭ドレミファ』の1・3・5番目をとって【ファラド】
『G』はト長調の音階『ソラシドレミファ♯ソ』の1・3・5番目をとって【ソシレ】
というわけですね。
Iの和音 主和音 という言い方が分かりやすい人は、そう思っていただくと早いです。
先日【超!コードネーム奏】の初級講座を受講してくださった先生が、『C、F、Gはわかるけど、DとかEとかになるとわからなくて』とのことだったのですが、
『D』はニ長調の音階の135で『レファ♯ラ』
『E』はホ長調の音階の135で『ミソ♯シ』
・・・以下同文
というわけですね^^
アルファベットの後ろにmがついて『Cm』『Dm』とかいうのもありますが、これは「マイナー」短調ですね。
※クラシック音楽界ではドイツ語で音名を表し、楽語はイタリア語が多いですが、コードネームの世界では、基本的に英語を使います。
マイナーコードになると、アルファベットが示す音から始まる短調の音階から音をとってきますので、
『Cm』はハ短調『ドレミ♭ファソラ♭シド』の135音で【ドミ♭ソ】
『Dm』ならニ短調『レミファソラシ♭ド♯レ』の135音で【レファラ】
ですね。
短調には自然的、和声的、旋律的と3種類の音階がありますが、ここで問題にしているのはコード=和音なので、和声的短音階で考えます。
…とにかく丁寧に説明しようと思ってこの話を始めましたが、ここまでで既に長いですねー(笑)
こんな感じで、しっかり理屈を知りたい方はコードの成り立ちを理解しておく方がいいと思いますが、理屈をこねるのが苦手な方は(私のお仲間・笑)まずメジャーコードを覚えて、マイナーコードは真ん中が半音下がるよー、と覚えることをおすすめしています^^
前半のお話は本当に超基本編ですが、ピアノ経験者にありがちな落とし穴が、和音の構成をきちんと把握せず、弾きやすさだけで和音をとらえてしまうことです。
どういうことかと言いますと、
シレソ をG
ドファラ をF
と覚えるようなことを、平気でやってしまうんですね。
コードネームを本当に使いこなしたい方は、
「ソシレ」 と 「シレソ」 を厳然と区別するべきです。
何が違うかわかりますか?
そう。
ルート
が違うのです。
ルートとは、『根っこ』のことです。和声学でいうところの『根音』です。
中学校の数学で習う『根号』も、『ルート』ですよね。(懐かしいー)
和音の中で言う『ルート』とは、最低音のことでしたね。
ルートの指示まできちんと書かれているコードをオンコードまたは分数コードと言います。
先ほどの例で言うと、「ソシレ=G」 「シレソ=G/B(ジー オン ビー)」*注 となります。
基本位置のコードには、いちいち「オン」はつけません。「C/C」のような書き方はしない、ということですね。
・算数の分数と同じように、分母にルート、分子にコードが書かれているもの
・コードの右肩に小さくon と表記されているもの
・ / の左側にコード、右側にルートが示されているもの
どれも、読み方は 〇(コード名)オン ◇(ルート)です♪
この楽譜では、最初の「ミソド」も次の小節の「ドミソ」もCとなっていますが、「ミソド」は【C/E】ですね。
更に、次の「シレソ」がG7となってるのも【G/B】ですね。(GをG7と書いてもまあ致命的ではないですが、ルートは書いてほしいですね)
ルートを曖昧にしていると、後々弊害が出てきますので、きちんと意識するようにしましょう。
というわけで、コードネームをきちんと理解するためには、オンコードがきちんと書かれているテキストを選ぶ必要があります。
特別な楽譜を探さなくても、月刊ピアノなどのポップス系の楽譜にはちゃんとルートまで書かれています。
クラシック系のコード教本の類は、そのあたりアバウトなものが多いので注意が必要です。
なんでこの話になったかというと
全くコードの知識がない方でもなるべく疑問点なくわかるように、と思って、かなりしつこくコードの基礎とルートのことを書きましたが、なんでこの話を最初にしたかといいますと、
『コードのルートだけ弾いたら、伴奏として成立する』
からなんですね。
つまり、まずはルートを単音で弾けるようになることがコード弾きの第一歩なんです。
基本コードならそのままルートを弾き、オンコードの場合は指示されたルートを弾きます。
小学生でも、幼稚園児でも、アルファベットが読める子どもさんならコードで伴奏ができます。
まして大人の方なら、問題なしですよね(*´ω`)
というわけで、今日のまとめ。
- コードの中で一番大事なのはルート
- まずはコードを見てルートだけ単音で弾ければOK
- オンコード(分数コード)をちゃんと意識することが大事
いやー、このシリーズはかなりの長期戦になる予感がしますね(笑)
途中で違う話を挟みながらになるかもしれませんが、よかったらしばらくお付き合いください(^▽^)/