業界のあかんところその②、チケットノルマ。
外部の方には何のことか分からないかもしれませんね。
何かコンサートとか公演をする際に、出演者がお金を出してチケットを購入して、売らなければいけないというシステムです。
特に現役の学生が何かコンサートに出してもらう、となるとたいていこのチケットノルマ制度を課されます。
一枚2000円とか3000円とかのチケットを、20枚とか30枚とか売って、お客様集めてね、と額面通りの価格で買い取らされるのですね。仕入れ価格が売値と同じというわけ。怖いでしょう(笑)
まだ良心的なところだと買取価格以上の枚数のチケットを渡され、全部売れば少しは利益が出るようになることもありますが、単なる集客ノルマとしての枚数を課されることが多く、『出演させてあげるからお金払いなさいね』というシステムです。
コンサート主催者は出演者からお金が入るので集客人数に関係なく、赤字になることはないので安心です。お客様が少なくて客席がうまってなかろうが、損はしません。安全な商売ですね。
そういったコンサートと関わらないようになってだいぶ経つので、今ではそのシステムの恐ろしさがよくわかりますが、どっぷり業界の中にいるときはそれが当たり前と思っていたので、気づきませんでしたね。
ノルマチケットは売れるのか
最近は若い方たちもSNSなどでファン獲得、販路構築など頑張っている人も多く、頼もしいなと思いますが、そうでない人もまだまだ多く、ほとんどの人はノルマチケットが売りさばけず、家族親戚ご近所さまお友達、あらゆる知り合いに声をかけてなんとか集客しています。
それでも全部さばくのは難しいことも多いでしょう。
『お金いらないから来てくれない?』という禁断の呪文(笑)を使ってしまうこともしばしばあると思います。
ノルマチケットにはナンバリングされていて、〇番から〇番は誰の手持ちチケット、とわかるようにもなっていて、『誰が何人集客した』『あの人は全然お客が呼べない』など、売上成績も管理されるという、もう本当に恐ろしいシステムですねーー^^;
正直、集客力のある方には出演依頼も多くなる、オペラなどでいい役がつく、といった側面もあり、もう何がなんだか(;^ω^)
頑張って売ったところで、チケットバック(売上に応じて報酬がもらえる制度)はほとんどないか、あってもほんの少しで、営業努力ととても見合うものではないと思います。
また、同業者同士で『この前来てもらったし、今度はお返しに私が行かないと』とか『私は行ってあげたのにあの人は来てくれない』とかいう話になったりもして、めちゃくちゃ不毛です(´;ω;`)
コンサート会場にはいつも同じ人がいて、順番に客席と舞台をローテーションしている…とかいうのも笑い話でもなんでもなく、実話だったりします。
『お金いらないから』とチケットを無料でばらまくのは、『お金をいただくほどの演奏じゃないんですけど、よかったら聴いてください』と言っているのと同じです。そんな演奏を聴くのに、わざわざ時間を割きたいと思うでしょうか。時間もタダではないのです。。。
チケットノルマが課されるようなコンサートは、最初にも書きましたが、自分の勉強の成果を発表する場、舞台に立つという経験をお金で買って経験する場、という色合いが強く、それだからみなさん自腹をきってでも参加してしまうんですね。
けれど、支払ったお金は何に使われていますか?
プロデュースコンサートはビジネスなので、企画元が儲かるようになっています。チケット代にはプロデュース代も乗っかっていますし、印刷費などにも惜しみなくお金が使われていたり、スタッフの人件費も贅沢に計上されていることでしょう。
出演料というお金を支払うことで、あなたは消費者として経験を買っているのです。
音楽家は消費者ではなく、クリエイター側にまわるべきだとは思いませんか?
仲間内で、会場の予約から印刷物、当日の受付など全て自分たちで済ませることができるならばそれほど高額にはなりにくいですし、身の丈にあった会場を探せば集客にそれほど苦労もしないでしょう。利益を出すことも難しくなくなります。
学生さんの多くはコンサートの主催経験がないでしょうし、経験を積む、箔をつけるためにという名目で、プロデュース会社が企画した”冠付きの”新人演奏会などにエントリーすることも多いです。
財団や奉仕団体の主催など、何らかの財源により良心的な条件で出演できるコンサートもありますが、とても少ないと思われます。
誰かの企画にのっからせてもらって、余計なお金を使うのはもうやめましょう。
コンサートを主催するのは難しくはありません。
次回からは、自分で事業を主催する場合の告知や資金調達などについて書いていきますね。